倉庫

ひたすら考えたことをひたすら書き殴ってひたすら終わる。

心地がいい空間

最近いつも座っている椅子で読書をしていると、ほんのりと本の匂いがただよってくるようになった。
ちょっと前まではお世辞にも本が多いとは言えなかった本棚の脇に置いてあった椅子。読書を習慣づける前までは無味無臭な、単に「一日のなかで作業に使う時間が長い」という理由だけで長時間座っていただけに過ぎない、文字通りただのインテリアだ。
それが読書を始めて本を次々と本棚に差し、あるいは差しきれなかった本を傍らに積み上げるようになってからというもの、ほの甘いような本の匂いが椅子を・また椅子に座っている自分を包み込むようになっていた。

ただそれだけのことがとてもうれしい。
まさしく陶然としてしまうのである。さながら家にいながら書店にいるような・・・・・・自室の次に書店が落ち着く場所である自分にとってはとても幸福な空間が、自分が自室の中で最も長く滞在している場所に広がっているのだ。これがうれしくないわけがない。

単に本を買い集めて所蔵しているだけという簡単なことだけで、それほどまでに心地よい空間が出来上がってしまう。そんな単純だけど率直な自分に軽く呆れつつも、心のどこかでそんな解りやすい自分をほほえましく思ってもいる。もっと早くのうちからこういう暮らしをしとけばよかった。